シンプルな暮らし。

The True Meaning Of Boodleybaye

The True Meaning Of Boodleybaye

Mice Paradeの記念すべき1stアルバム。Dylan Groupのドラマーとして名が知られていたアダムピアースがDylan Groupの活動と平行してスタジオレコーディングプロジェクトとして開始したMice Parade。本作品ではすべてがマイク録音で、マンハッタン郊外にある自宅の地下スタジオで演奏が行われています。最後に収録されているアカペラの「? (It's a Joke; It's Supposed to Be Funny) 」以外は楽器のみので構成されているアルバムです。
レーベルはアダム自身が主催し、The Dylan GroupのDylan Cristy(ディラン・クリスティー)やScott McGovern(スコット・マクゴバン)と共同運営するBubble Core。後に日本ではP-Vine(blues interactions)からリリースされています。作品の内容としては極めてドラムス、ベース、キーボード、ギター、ビブラフォンなどの楽器を用いたシンプルなポストロック。アナログ録音特有のスタジオの空気感がマイクで集音されているのが良く分かります。特にキーボードのメロディーが特徴的でそれを少しずつずらして反復させるような技法ではスティーブ・ライヒ等のミニマルミュージックの影響が強く見えます。そして何より、この作品ではアダムのあの独特なほんの少しだけ前にずれたようなリズム間隔で叩き出されるドラムの音が大きい。2004年以降の作品と比較するとドラムの音がよりファンキーで音数が少なく聞こえます。時代的な背景を考えると、ポストロックの中心地でもあるシカゴではこの作品がリリースされた1998年までにTortoiseが以下の作品をリリース済みで、この流れを考えると少なからずシカゴ勢に影響を受けたのではないでしょうか。

  • Tortoise(1994)
  • Rhythms, Resolutions & Clusters (1995) - remix album
  • Millions Now Living Will Never Die (1996)
  • TNT (1998)

このNYからMice Parade名義でリリースされたThe True Meaning Of Boodleybayeとシカゴ勢がリリースしたポストロックの作品群と比較すると、前者の方がよりメロディックで白っぽさを持っているように感じられます。アダム自身が認めているようにイギリスのCreationに在籍していたアイルランドのロックバンドMy Bloody Valentineの影響もあり、ギターの音がシューゲイザーそのものと感じられる時があります。個人的にはこのシューゲイザーっぽい音は好きじゃないのですが、トータルで見るとリズムアンサンブルとも呼べる名盤です。特に#01のA Dance By Any Other Nameや#09のMy Funny Friend Scottの独特なドラムとシンプルなメロディーが耳に残ります。単にポストロックという言葉から「少なからずジャズの影響を受けているロック」と評価されがちですが、私個人としてはこの作品からジャズはほとんど感じません。むしろクラブミュージックやシューゲイザー、ミニマルミュージック、ほんの少しのハードコアあたりが混ざった音に聞こえる場合が多いです。後にThe Dylan GroupのScott McGovern(スコット・マクゴバン)に聞いてみたところ、「ジャズは好きだけど、アダムとディランと僕は本物のジャズは演奏できないよ。ジャズバーでジャズっぽい演奏してごまかしてた時期もあったけどね」との返事が。

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